ちぎれんばかりにしっぽを振るのは犬だけではない

11月中旬、引継ぎをしてくれていた前任者と帰りが一緒になり

駅から会社までの近道を教えてもらった。

農道と思しき険しい急こう配を越え住宅街を突っ切り、確かに国道沿いを行くよりわずかに早い。

 

恐らく手加減してくれただろうけれど

アスリートの彼のペースで先導され、ようやく駅に着いた頃には

息を切らすを通り越し、膝は笑い、コートの中は汗だくになった。

運動不足にもほどがある!

教えて貰ったものの二度と通るまいと固く誓ったはずなのに

今や通勤経路として定着してしまっている。

 

それは初めて単独であのK3(険しいキツイ苦しい)に果敢にアタックをしたときのこと

明かりもほとんどない暗くて先の見えない曲がりくねった農道を見上げ

なんでこんなことに…と自分の選択を呪いながら

どうにかようやく頂上までたどり着き、成し遂げた感を胸に

住宅街、そして公園を横切る。

 

その時だ。

人気のない公園から1匹の猫。

鳴いている、しっぽがすごい。

短い尾を高速回転して激しく鳴いてくる。

手元には…何もない。

ごめん、本当に済まない。

高揚感はとっくに消え去り、打ちのめされて帰宅した。

 

翌日から黒缶パウチを持って通勤。

もはや仕事をしに行くというより

ご飯をあげるために仕事をしに行くような、そんな感覚で日々を過ごし

まもなく3か月になる。

 

一時は保護しようと思い、会社までキャリーを持ってきたりしてみたけれど

同じ部署の人の口から、この界隈で少なくとも4,5年は見ている

まったくの野良ではない、ご飯を貰っているようだ

地域猫に近いのでは等の話が出る。

探してみると、確かに玄関口に大きなボウルを置いている家もある。

外飼いしているのか?地域猫なのか?保護していいのか?

一度話を聞いてみようとピンポンしてみたが、人はいる様子だが誰も出てこない。

(しゅ、宗教の人じゃないですよ!!1111)

う~ん…怪しいか。

しばらく様子を見よう、そう思い、キャリーは一旦自宅に持ち帰った。

 

しかしこのところ毛並みが悪くなり、風邪をひいてくしゃみが止まらず

声はかすれ、しっぽの回転も冴えない。

ご飯をあげても、口に何か怪我をしているのかうまく食べることが出来ないでいる。

明後日は大寒波がやってくる。

最高気温5℃最低気温‐2℃雪の予想。

明日はキャリーを持って出勤しようと思う。